07 Jul 2026

樋口 幸平 look.2

0.1mmでも前に進みたい。リスペクトを胸に役とともに歩む挑戦者

2020年のデビュー以来、多くのドラマや映画で活躍し、その存在感を示してきた樋口幸平さん。常に新しい挑戦を求める彼が纏ったのは、私服に近い雰囲気だったlook.1と対照的な色と柄に溢れたプレイフルなスタイル。「普段は暗いトーンの色が多いけど、今後は白や明るい色にも挑戦したいと思っていて」と、花柄&スクエアの新作スニーカー「MEXICO 66 SQUARE」の彩りを味方に、自身にとってフレッシュな着こなしを手に入れた。

「look.2は『街にこんな人がいたらおしゃれだと思うな』というコーディネートでした。チェック柄のブルゾンに、四角いシルエットがかわいいフラワープリントのスニーカー(MEXICO 66 SQUARE)や、差し色として目を引くピンクのショルダーバッグを合わせた、気持ちが明るくなる装い。さっそくアイテムや色の使い方を真似したいと思いました」

コーディネートを決め、撮影スタッフとのコミュニケーションを取りながら、被写体としてのイメージを固めている様子。多様な表情とポージングで、Onitsuka Tigerの魅力を最大化していく。真剣な眼差しの奥に、どこかワクワクした光が宿っているようだ。

「映像作品も、今回のようなファッション撮影も、みんなでものづくりをしている感覚がすごく好きなんです。ひとつの世界をみんなで作るために、僕は演じる役の人生を背負いますが、いっさい手を抜きたくないですし、絶対に妥協したくないという思いが強いです。役を大事にしてよりよいものにしようという気持ちを持って、ある意味現場に戦いに来ていると思うんです。だから、監督やスタッフさんも同じ気持ちでいるというのを感じると、すごくうれしいですし楽しい気持ちになります。

Kouhei Higuchi look.2

例えば監督がシーンごとに『こういうのがいいんじゃない』『こういう表情を見せてみてよ』と、役の本質を引き出したり可能性を与えたりしようとする姿や、それに真剣に応えようとするキャストの姿を見ると、リスペクトがある現場だと思うんです。そういう一緒に新しい栄養を蓄えている感覚がすごく好きで。やりとりが多ければ多いほど、撮影を終えた際に抱く気持ちは──例えば、達成感や幸福感は俳優という仕事だからこそ味わえるものなのかなって。この感覚を何度も味わえるのは、本当に素敵なことだと思います。だから僕は、つねに作品に呼んでいただいけるような存在になりたい。あの感動をまた味わいたいんです」

これまで何人ものすばらしいクリエイターや作品と巡り合ってきたが、なかでも印象に残っているのが、映画『こころ』で中川龍太郎監督との出会いだという。「役への向きあい方や俳優としての心得をいただいたと言っても過言ではない」と語る。

「『こころ』はリスペクトの大切さを知った現場でもありました。中川監督は俳優と同じ目線で役に対する思いを共有される方で、意見をこまめに交換してくださいました。その一方で、僕がその役に集中して居続けられるように、ときに撮影現場の人を減らしたり、僕にあまり話しかけないように伝えたり、僕との距離感も考えてくれていました。役と俳優にリスペクトを抱いている方だからこそ、そうしてくださったんだと思います。現場で、役で居続けることの難しさと大切さを実感して、その後のお芝居で役との向き合い方をさらに探求するようになりました」

そんな感覚が新しく芽生えたのは、樋口さんがもともと持っている、前に進もうとするマインドと合致したからかもしれない。

Kouhei Higuchi look.2

「昔からチャレンジすることは好きだった気がします。真面目に挑戦しつつ、『ミスしたらミスした時に考えよう』というタイプで、もちろんこれまでもいろいろな壁にぶつかって、自分なりに乗り越えてきました。サッカーをやっていた学生時代、ずっと目標を持って活動していたことが活きているのかもしれません。あまり立ち止まりたくなくて、0.1mmでも昔いた場所より進んでいたいと考えていて。これはたぶん、僕のよくないところでもあって、立ち止まったからこそ冷静に考えられることもあると思うんですが、僕の性(さが)ですね。毎回新しい感覚と課題が生まれる俳優というお仕事は、自分にぴったりだと思っています」

自分の天職ともいえる俳優。自分とは異なる人物を自分の体を通し、自分のものにする。簡単ではないが、それでもよりよい俳優活動を目指すなかで大事にしていることは──。

「作品中、役とともに成長するので、準備や撮影をしている数ヶ月の間で、その役をどれだけ成長させるかを考えられる人こそがすばらしい俳優だと思っています。そのために自分はとことん監督の話を聞きたいし、共演する方のお芝居に対する感覚を感じ続けたい。“自分で答えを導き出したほうが成長する”という意見もあると思いますが、僕はあらゆる角度からの“栄養剤”をほしいと思うので、広い視野で受け取って、吸収して、取捨選択できる心持ちでいるようにしています。

その中で、自らで突き詰められるものがあるとすれば、役の人生を想像することです。『なんでこの人はこの時、こういう発言をしたんだろう』という感情の部分の他に、『このシーンの前は何を飲んでいたのかな』など、この5分前は、10分前は何をしていたんだろうと思いを巡らせることをすごく大切にしています。そこから、『僕自身だったら、そして僕が演じるこの人だったらどうする?』と想像を広げていっています」

Kouhei Higuchi look.2

樋口さんが心がけている、深いリスペクトとともに行う役づくりが生きた作品が、8月7日公開の映画『ブルーロック』だ。世界一のストライカーを見つけるため、“青い監獄(ブルーロック)”に集められた300人の高校生。ゴールへの執着心=“エゴ”を武器に、仲間でありライバルであるという才能の原石たちが、熾烈な戦いに身を投じていく。

個性豊かなキャラクターがひしめき、“全員主役”という物語の中で、樋口さんは、爆発的な加速力と左足から放つシュートを武器にもつ剣城斬鉄役を演じる。「大好きなサッカーの経験を存分に活かせた」とうれしそうにほほえむ。

「原作の漫画やアニメですごい人気を誇る作品の魅力を、一俳優として、そして得意とするサッカーで表現できたことがうれしかったです。僕が演じる剣城斬鉄はメガネがトレードマークで、知的な雰囲気はあるけど実はちょっとおバカなキャラクター。原作で好かれる要素を大事にしながらも、加えて特徴である走り方やボールの持ち方をこだわれるのは、サッカーをやっていた人の醍醐味ですし強みだと思ったので、斬鉄の動きを勉強して撮影に臨みました。

また個人的に、生身の人間が演じるリアルな部分を追求したい部分もあったので、プレーシーンについて監督と相談を重ねました。監督も経験者の僕に意見を求めてくださって、『ここならこうボールを受けて、こうやって運んでいくと思います』と、僕が考える斬鉄像も含めて、試合パートでも自分のイメージを伝えられたことが楽しかったです」

Kouhei Higuchi look.2

作品作りにおいてリスペクトを大事にしていると語った樋口さん。本作同様、同世代の才能たちが集まった現場で、掛け替えのない唯一無二の体験をしたと振り返る。

「本当に最高の現場でした。キャストは年齢が近く、今活躍している俳優ばかり。雰囲気が良く、自分の演技で良い作品にしたいという仲間に囲まれて、刺激もたくさんありました。注目が集まる作品ですし、撮影の規模も大きく、すごい作品に参加しているんだと、つねに気持ちが引きしまっていて。将来、『あの人、「ブルーロック」に出ていたもんね』と多くの人に言われるように、これからも頑張ろうと気合いを入れてもらった作品になりました。

撮影は、1か月ほど地方に泊まり込みだったんです。出演者はホテルも一緒で、撮影が終わったら仲間とごはんに行って、お風呂に入って寝て、また翌朝に現場に行って──を繰り返して、まるで合宿のような雰囲気の中、楽しく幸せな時間を過ごすことができました」

樋口さんにとって成長と喜びに満ちた俳優活動。今後の展望を聞いた。

「役にとことん向き合える現場に身を置きたいです。終わりがないと思うので、つねに何かを学んでいたい。俳優という職業は変わらなくても、時代とともに求められるものも活躍の仕方も変わるかもしれないので。一人でも多くの人に見ていただけるように、いただいた役と向き合い続けることを意識してやり続けていれば、気づいたらまた違う場所で新しい素敵な景色を見られるんだろうなと信じています。そのために、前を向いて、0.1mmでも先に進んでいきたいです」

終わらない挑戦の中でも心はブレない。演技への情熱と信条を軸に進み続ける姿を、どこまでも追いかけていきたい。

→look.1では、樋口さんのファッション観やオフの過ごし方などについて聞きました。


Direction : Shinsuke Nozaka
Photo : Yoshiaki Sekine
Movie : Maho Tomono
Stylist : Yusuke Yamaguchi
Hair & Make up : Kaco (ADDICT CASE)
Text : Hisamoto Chikaraishi (S/T/D/Y)

Kouhei Higuchi

■PROFILE
2000年11月30日生まれ、兵庫県出身。’22年より放送の『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』で主人公の桃井タロウ/ドンモモタロウを務める。近年の出演作に、ドラマ『MADDER その事件、ワタシが犯人です』(25年/関西テレビ・フジテレビ)、『恋フレ~恋人未満がちょうどいい~』(25年/毎日放送)、(25年/毎日放送)『こころ』、映画『ネムルバカ』(25年/ポニーキャニオン)などがある。8月7日公開の映画『ブルーロック』で剣城斬鉄を演じる。

■着用情報
BLOUSON
2181B271.300 (GREEN/NAVY)

SHIRT
2181B252.700 (GREEN/OFFWHITE)

PANTS
2181B245.251 (ASH GREEN)

MEXICO 66 SQUARE
1183C789.100 (WHITE/CREAM)

SHOULDER BAG
3183B346.700 (PINK)