Craftsmanship of Japan クラフツマンシップが宿る場所 「ジ・オニツカ」「ニッポンメイド」のシューズは、自社工場でつくられる。そこに息づくのは職人の手、そして真心から紡ぎ出される“日本のものづくり”の美学だ。 ジ・オニツカの「ブローグ」の製造工程を追っていく。まずアッパーのパーツを裁断。レザーの上に金型を置き、裁断機で圧をかけて抜く。繊細な穴飾りも金型に仕込まれており、それらを正確に裁断するためには技術を要する。 ソールを裁断する工程。棚にはソールの金型がサイズごとに並ぶ。 縫製されたアッパーを足型に合わせて成型する「吊り込み」と呼ばれる作業。まずは機械で前足部を行う。 側面の吊り込みは手作業で行う。ジ・オニツカのように硬めの革をラストに沿わせるには熟練の技が要求される。 この自社工場はオニツカタイガーにおける日本のメインとなる生産拠点。つまりこの工場でつくられるシューズは、日本のものづくりの素晴らしさを世界に発信する役割を担っているのである。海外の工場では1~2品番を集中的にラインに流し、生産数を上げるのが一般的だ。現場を取り仕切る生産部の担当者は、こう話す。 「海外では、50工程あれば50人それぞれが、ひとつの工程だけを担当します。そして、それを検査する人もまた別にいる。ですが、うちのように“多品種小ロット生産”の場合、割ける人員が限られます。そこで大切になるのは、自分の作業に対して責任をもち、きちんと判断して次の工程に渡すこと。ひとりひとりが検査員になり、できることを精一杯やって次に渡す。その積み重ねだと思っています」 このジ・オニツカの「ブローグ」のようなドレスシューズとスニーカーを同じ生産ラインで製造する工場は、世界に類がない。 アッパーとソールを貼り合わせる際、接着の強度を高めるために「バフがけ」という研磨作業を行う。表面を均一にならすには繊細な手作業が欠かせない。 バフがけを終え、このあとは接着剤を塗る作業へ。 歪みが生じないよう、均一に接着剤が塗られたアッパー。接着剤は貼り合わせる素材によって種類を使い分ける。 アッパーとソールを手作業で接着したのち、プレス機で圧着。 成型されたシューズに中敷きを入れ、シューレースを通す。商品に問題がないかを確認しながら手際よくひもが通されていく。 完成したばかりのジ・オニツカの「ブローグ」。最後にしっかり検品し、箱詰めされて世界各国へと出荷される。 もともとビジネス向けのシューズも製造している背景はあるにせよ、それを可能にしているのも職人ひとりひとりの姿勢と気概だ。 裁断したパーツを縫い合わせてアッパーをつくり、それを木型にかぶせて吊り込み、ソールを圧着する。言葉にするとシンプルだが、品番や素材が変われば自ずと作業の視点や力加減が異なってくる。それらに柔軟に、ていねいに向き合えるのが日本人の奥ゆかしさであり、それこそ卓越した職人技だ。 「社員はみんな、自分たちがつくったものは覚えています。それを履いてくれている人に出会った時の喜び、その人たちのためにいいものをつくろうという気持ち。それがすべてです」と担当者は話す。 鬼塚喜八郎は毎年この工場に足を運び、ものづくりにかける自らの熱い思いを社員に語りかけたという。“ニッポンメイド”の誇りを胸に、今日も職人たちは励み続ける。 Proudly Made By Hand